髭人爺(ひげじんじ)です。
今回は辛いです。
しかし自分でこのテーマを選んだ以上、逃げられない事例を書くことにします。
もう15年近く前になりますが、仲の良かった親戚のお兄ちゃんが人事異動で遠い土地に転勤することになりました。この人は7歳年上で、いつもニコニコされていて、周りにも気配りのできるすごく大人という感じの大好きな人で、よくかわいがってもらっていました。ただ赴任先の土地勘がなかった上に、担当する業務の内容はほとんどが“初めて担当すること”だったらしく「毎日勉強することが多くてね」とよく話をされていました。結婚して子供も生まれてまだ5年くらいであり、会うたびにいつも写真を見せては親バカぶりを発揮していたのを覚えています。今回の人事異動に関しては自宅からは通えないということで、泣く泣く単身赴任で対応されていました。
半年後、その人は単身赴任先の社宅で自ら命を絶ちました。
ここからは筆者も記憶が飛んでしまっており、未だに信じることができないほどの「心の傷」になっていてなかなか詳細は書けません。
ただ、亡くなる数日前にメールでやり取りをしていたのを思い出して、読み返してみると所々に「目には見えない悲鳴」「HELPのサイン」があるようにも思え、そのことで未だに自責の念に駆られます。別会社とはいえ私は当時も【人事マン】であり、メンタルヘルスケアについては担当していたにも関わらず、なんで身近な存在からのそのサインを見逃してしまったのかと。
自ら命を絶つというケースはほとんどがその瞬間には何も考えられず、ウツ症状を発症していて、自己否定や現実逃避で頭が一杯になるといいます。本当の自殺の理由は誰にもわかりません。もしかしたら本人自身もまさかそんな行動に出るなんて、その瞬間が来るまで予想もしていなかったのかもしれません。ただ残された家族・親族・知人にとっては、突然の悲劇でしかありません。近しい人たちはいつまでも「なぜ?どうして?」という気持ちを抱えて、今後の人生を過ごさなければならないという苦しい事実だけが残ってしまいます。身体の傷は時間とともに治癒されていくでしょうが、残された方々の心の傷は消えることはありません。
この出来事以来『自殺者を出さない仕組み(メンタルヘルスケアの必要性)の実現』を筆者自身の使命と考えてきました。ほんの小さな一歩ずつですが、自殺企図のある人が一人でも多く思いとどまってくれることを期待して【人事マン】としての視点を忘れずに行動していこうと思います。
いつかお兄ちゃんに褒めてもらえるように。