2)ー3 対応変遷

メンタル対策にはみんな苦労してきました

髭人爺(ひげじんじ)です。

みんなメンタル対策にいろいろ工夫してきました。

既にこのブログでも「20年以上前からメンタルヘルスケアが問題になり、企業としても様々な取り組みをしてきたこと」を記載しましたが、本当は昔から“ストレスに弱い人”はいたはずです。むしろ昭和時代に日本企業が高度成長期に右上がりに成長発展していたころは、みんな死ぬ気で働いていて、『メンタルヘルスケア』という言葉も一般的になっておらず、“飲みニケーション”と称して、上司や先輩が若手を飲み会に連れ出して、お酒の力でストレスを発散させるということで解決できている(と思い込んでいた)時代もあったと聞いています。

が、今の時代のように、個人のライフスタイルが多様化し、価値観も変わってきた場合には「飲み会」自体がストレスと思われることもあるようになってきています。まして酒の席でセクハラやパワハラといったことに及ぶのは言語道断です。(昔は見逃されていたこともあったかもしれませんが、今の時代は許されることではありませんね)

1988年9月に労働省(現:厚生労働省)から)「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」が出され、やっと“メンタルヘルスケア”という言葉が世に出てきました。その後2000年8月に「職場における労働者の心の健康づくりのための指針」(いわゆる“メンタルヘルス指針”)が出され【心の4つのケア】について各企業でも取り組むようになり、翌年2001年12月には中央労働災害防止協会を中心に『職場における自殺の予防と対応』マニュアルが整備されました。

そのかいもあってかやっと『メンタル(ウツ症状)というのは【心の風邪】と言われ、誰でもなりうる』という情報が少しずつですが共有され始め、各企業でも「優秀な人材がメンタルで戦力にならなくなる」とか「メンタル発症で職場の問題社員(トラブルメーカー)がでてくる」というようなことが問題視されてきたように思います。

時系列に「社員ストレス発散」の方法が変わってきていますので、ざっくりと振り返ってみます。下記の通り、はじめのうちはどちらかというと“全社員へのサービス”的な要素が強いところから、時代を追うごとに“各社員個人のストレス軽減を企業として能動的に”というように変わってきているのがご理解いただけるかと思います。

1)社内レクリエーション活動の活性化

・職場対抗運動会・文化体育クラブ補助 等  

2)契約保養所・社内食堂等の整備

・会社契約の保養所・宿泊施設

・事業所ごとの食堂設置 等

3)健康管理推進

・診療所・カウンセリングルームの開設 

・個別健康診断・人間ドック推進 等

4)勤務暦・勤務時間の見直し

・年間標準出勤日の削減(休日増加)

・一日あたりの勤務時間の削減(ex.8時間⇒7時間)等

5)新しい勤務形態の導入・検討

・フレックスタイム制度

・シフト勤務制度

・裁量労働制 等

6)休暇制度の見直し(休暇を取りやすい工夫)

・計画的年次有給休暇取得(全社一斉の有給休暇取得日)

・半日もしくは時間単位での有給休暇取得制度 等

7)勤務時間の短縮に向けた取り組み

・時間外労働の制限+“サービス残業”の禁止

・フレッシュアップデー(時間外労働禁止曜日の設定)

・会議時間制限・立ち会議推進 等

8)育児・介護支援のための制度

・育児休職制度・育児短時間勤務制度・構内託児所(契約託児所)

・女性活用のための管理職登用

・介護休職制度 等

9)通勤時間短縮に向けた取り組み

・サテライトオフィス

・在宅勤務制度 等

10)政府指針に基づく取組み

・心の健康を保つための「4つのケア」(政府指針)

・個別ストレスチェック制度の展開(政府指針)

 

今や社員個人のライフスタイルに合わせた【働き方改革】が政府からも指針として出され、各企業としても緊急課題として取り組まなければ、個人ごとの精神的なケアができないという時代になりました。優秀社員の獲得・定着にも大きく影響します。

もちろん“飲みニケーション”で解決できる昔ながらの部分もあるとは思いますが、過労自殺が年間3万人を超える時代では、今までのような「個人の責任に任せる」やり方では問題解決にならず、一度『過労自殺者』が出てしまった場合、企業自体が社会的制裁を受けることになるということを肝に銘じなければいけないと思います。