3)ー2 長期視点対策

若手~中堅社員の離職という問題

髭人爺(ひげじんじ)です。

今、若手中堅社員が流動しています。

ここ数年いろんな会社で、若手(20才代)~中堅(30才代前半)社員がメンタル症状を発症したり、転職していくことが増えているそうです。これは世代間のギャップという単純な言葉では表せない状況であると思います。同じ【人事マン】もかなり若手が辞めて行きました。筆者も【人事マン】の端くれとして、人を扱う業務を担当している【人事マン】の若手まで辞めてしまうというのは、非常に危険な状態であると思っています。

元々、【人事マン】は会社の業績により変化するTOP方針に従い、人材シフトや職種変更の推進等を担当しなければならない厳しい仕事です。会社業績が厳しい時には、場合によってはお世話になった人材派遣スタッフの契約終了を通知しなければならないケースもあるでしょうし、また持ち家を買ったばかりの方が、本人の希望とは関係なく業務都合で遠くに転勤になってしまうようなケースでも、手続き処理を進めなければなりません。対象者のことをよく知っていると余計につらい仕事です。会社の業績がうまく上がらないとTOP方針が変更になり、せっかく何年もかけて積み上げてきた実績のある制度を、抜本的に見直すような方針を出されたりする例もあるかもしれません。

少人数規模の会社であれば、Face to Faceで一人一人の社員と向き合えるので、【人事マン】としても自分の仕事の効果を肌で感じることができ、達成感につながると思いますが、会社が大きくなってしまうと“人”を扱う仕事でありながら、実際には現場から一番遠い存在になってしまい、管理システム導入により分業が進みすぎて『自分は歯車の一つ』であるかのような錯覚を覚えるということが多くなります。

30才代前半というのは、バブル時代がはじけた後、就職難の中で入社した優秀な層ですし、20才代の社員はリーマンショック後に各社が業績をなんとか回復してきた拡大期に採用された「意識の高い」層ですので、『自分が歯車の一つ』になったように感じてしまったら、なかなかモチベーションを保つこともできなくなってしまうのかもしれません。各社が業績回復し、転職市場が動き出したら、優秀な層ほど自分がステップアップできない状態には敏感ですので、タイミングを逃さないうちに新しい環境で自分を試したくなるというのも理解できます。『1つの会社で定年まで勤め上げるということは魅力ではなくなった』という事実を受け止め、認識を新たにするしかないと思います。

一方で『歯車化』に耐えられなくなった【人事マン】の中には、メンタル症状を発症してしまう対象者もいます。これは決して本人だけが悪いのではなく、私は【人事マンである上司が部下や後輩のマネジメントをできていない】という証拠であると思います。これは直属の上司だけの問題ではなく、人事制度そのものに対しての経営TOPの考え方の問題と思います。上司自身も【人事マン】でありながら【部下の人事マン】をうまくマネジメントできなくなってきているというのは、会社としての大きな課題だと思います。(筆者自身の反省も込めてです。)