髭人爺(ひげじんじ)です。
企業の経営層の皆様、そして管理職の皆様 【人事マン】のメンタル発症は大きな機会損失です。
企業のTOPの皆様は当然ながら『企業文化の顔』であり、各部門長は『部門文化の顔』です。自分の上司が何を大切にする人なのかということに対しては、部下は非常に敏感であり、感覚的に誰よりも一番わかっていると思います。
“企業は人なり”という言葉はよく耳にする言葉ですが、昨今の経済ニュースを見ていると、パワハラ、セクハラはもとより、過労死、過労自殺といった事件も後を絶ちません。TOP自身が社内の「人材」という資産に対して、どれほど真面目に関心を持ってくださっているかが、会社としての組織力を向上させる最も根幹になると思います。
ましてやTOPスタッフとして、TOP方針を展開する使命を持つ管理部門要員である【人事マン】は、人一倍デリケートな仕事を、人一倍努力して、日々の業務に邁進しています。「間接部門での人件費削減」という方向性は各社統一の課題でしょう。今や【人事マン】が担ってきた給与計算や社会保険等、各社員と密接なかかわりのある業務がアウトソーシングされ、分業化が進み、全体のしくみを把握できている人材が激減しています。同様に経理担当も法務担当もITインフラ担当も総務担当もどんどんアウトソーシング化され、会社の中枢機能を支えてきた自負がある管理スタッフたちが「単なる作業マン」になって、次々とモチベーションを下げ、どの会社も優秀な若手社員はステップアップを求めて離職し、あきらめムードの高齢社員は(自分の仕事の質が下がっているのを承知で)会社にしがみつくという悪魔のループに入りつつあります。(これは設計開発区の技術者も、製造部門の技能者も全く同じではないでしょうか?)
私は【人事マン(を始めとする管理スタッフ)】の一人一人にこそ、会社の方針にのっとった組織的マネジメントを実施していかないといけないと思います。火種は経営層のすぐ足元にあります。
まして【人事マン】がメンタル等の病気を発症して離脱してしまった場合は、1人分のマイナスではなく、他の社員への悪影響が必ず発生しますので、数人分のマイナスに相当すると思います。もしかしたら同じ職場の【人事マン】も同僚が抜けた分のカバーリングをするために無理をしてしまい、同様に発症してしまう可能性もあります。実際に『同じマネージャーの下ではメンタル対象者が出やすい』と言われています。そうです。私の個人的な極論では『ウツ症状は移るんです』(下手な駄洒落じゃありません)
各部門の組織長をつかさどる管理職の皆様も「部門の経営者」であることに間違いありません。自分の部下に対しての育成責任と、その部下がポテンシャルを存分に発揮できる環境づくりは、各部門の管理職の使命です。まずは自分の部下一人一人に対して、今一度関心をもって接してみてほしいと思います。「俺はちゃんとコミュニケーションをとっているよ」とおっしゃる管理職ほど、実際には現場の部下との距離が長いことは、部下の間では周知の事実です。
部下を自分の子供だと考えるとわかりやすいですね。叱ってばかりだと怖がられますし、甘やかすとやりたい放題になってしまいます。時には信頼して任せてじっと我慢して待つことも必要でしょうし、時に失敗して「心の傷」をおってしまった場合には、普段とは違うスタンスでカウンセリングモードで優しく話を聞き、そばに寄り添ってあげるということが重要です。ただし(メンタル発症のように)病気にかかってしまったら、病院に連れて行って専門医に診せるしかありません。
まさに会社でも同様です。(ただ「家族」ではないので関わりすぎてもいけないですし、自分自身が部下の「ストレッサー」になってしまっているケースがあるということは認識しなければなりませんが。)
管理職の皆様はご自身の健康管理に十分に留意することはベースですが、「日常から部下の状況を把握」し、「普段とはちょっとどこか違う点に気づき」、個別面談や声掛けをして「本人の様子(困りごと・健康状態)を確認」して、場合によっては「人事担当に相談する」ということが極めて重要な役割になります。その上で「人事担当と相談の上で産業医と連携」して、部下本人の健康回復を支援することが重要です。そう考えると一番大事なのは“普段からの接し方”になるのではないかと思います。上司が一人だけで抱えるのは非常にリスクがあります。(万が一の時は会社としての責任問題に発展します。)
「人事に任せるほどではない」「人事に知られると問題扱いされてしまう」と思っている上司ほど、いざという時に間違った行動をしがちです。一度自分のこととして振り返ってみて、【人事マン】との連携をはかることをお勧めします。
また【人事マン】は【人事マン】として、必要な基礎知識があるのか、もしも自分しか居なかった時に正しい判断と行動ができるのかを今一度確認すべきです。【人事マン】の中にも「対応を間違ってしまいそうな『人事マンっぽい人』」は居るように思います。