髭人爺(ひげじんじ)です。
今度は、「上司としては何とかしてあげたいという気持ちがあっても、やり方を間違うと逆効果になる」という話です。
①「頑張れ!負けるな!」と叱咤激励する。⇒「既に自分としてはこれでも頑張っているのにこれ以上は無理」と感じてしまう。
②リラックスさせようと酒を飲ませる。⇒アルコールでの一時的な抑揚感は病気そのものにはむしろリスクがあります。
③本人に無断で仕事の負荷を減らす。⇒本人が希望も納得もしていないのに仕事の負荷を減らすと「ダメな人間とレッテルを貼られた」とか「自分の仕事はなくなる(ずっと外される)のではないか」と不安感を生んでしまうリスクがあります。
④本人が納得しないのに強制的に休ませようとする。⇒上記③と同様
⑤本人が納得しないのに精神科医に連れていく。⇒「無理やり病人扱いされた」と受け取られる可能性があります。
⑥本人に無断で主治医のところに様子を聞きに行く。⇒本人としては会社には知られたくない部分があるかもしれない。「なぜ主治医がここまで知っているのだろう」と不安になる可能性があります。
⑦(明らかに様子がおかしいのに)本人が「大丈夫です」といった言葉を真に受けて、しばらくは様子を見ておこうと判断する。⇒病状が悪化してしまう可能性があります。早め早めに対応した方が良いです。
⑧専門医の診察を受けさせるために本人にうそをつく。⇒本人との信頼関係が崩れると、治療も進まないばかりか、トラブルに発展する可能性があります。
⑨ご家族のご理解を得ずに進める。⇒万が一の際に会社としての責任を問われる可能性があります。
⑩明らかに対象者の精神状態が不安定な時に「退職願」が出てきた際、そのまま処理してしまう。⇒本人は一時的な感情の迷いや勢いで「退職願」を出してしまったかもしれないので、排除の理論でこれ幸いと受理してしまわない配慮が必要です。「会社として辞めさせたかったんだろう!」といった誤解を生む可能性がありますので、(一旦要旨は預かるにしても)産業医面談等の結果や本人の落ち着きを確認してから、可能であればご家族にもご説明の上で処理に回すといった慎重な対応が必要と思います。
上司って大変ですね。管理職になりたがらない人が増えてきているという風潮もうなずけます。