髭人爺(ひげじんじ)です。
今日は「高齢者の心理」についてです。筆者自身も50歳代後半に入り、りっぱな「高齢者」になりました。(厚生労働省では55歳以上を「高齢者」としています) おかげ様で諸先輩方の気持ちも十分に理解できるようになってきましたが、年を重ねていくにつれ、やはり心の持ちようも変わってきますので、配慮が必要になってくると思います。
高齢者の方は、社会の中でも求められることが変化してきますし、ご家庭の中でも役割が変わってきます。自分の老後(将来生計や健康)のことも心配ですが、むしろ「家族に対して何を残せるか」とか「家族の負担にならないようにするにはどうしたらよいか」といったように、どうしても後ろ向きに考えることが多くなるでしょう。といっても昔からのプライドは捨てきれず、自分の考えに固執したり、他人からの気遣いや申し入れを拒否したりする頑固さがでてきてしまうかもしれません。
やがて自分自身でも認めざるを得ないほど、体力が低下し、集中力も衰えてしまい、意欲も失われることになるでしょう。借金を苦に自殺を選んでしまったり、人を寄せ付けないで孤独になってしまうというようなことも起こるかもしれません。
そんな時に抑うつ症状を発症し、中には自殺願望を持つ方もでてきます。実際に比率的にも60歳以上の方の自殺率は下がっていません。気持ちが落ち込んでも「老化によるもの」というように受け取られがちで、自らメンタルクリニックにかかる方も少ないようです。
本来であれば早めに医師の診断を受け、処方をいただくに越したことはありません。特に、睡眠不足は健康上の最大の敵であり、高年齢になってくると排尿のタイミング等の関係で、眠りが浅くなり、実際の睡眠時間が少なくなってしまうことが多くなります。もしも睡眠障害の症状が出た場合には、心療内科等で早めに入眠剤等の処方を受けるべきと思います。
高齢者の心理的な特徴は、「死に対する恐怖」「孤独感」「体力・健康に関する自信の崩壊」「世の中の仕組みへの不満」等が、身体の症状だけでなく、行動や言動にも出てしまうということだと思います。声をかける際にも十分な配慮が必要になると思います。
特に要支援・要介護の高齢者のご家族の方は、下記のようなことに気を付けて行動されるとよいと思います。
1)後ろから急に声をかけない。(びっくりして前に倒れてしまったりするリスクあり。ゆっくり正面に回って目を見て話す)
2)できるだけ「〇〇さん」と名前で呼ぶ。「おじいちゃん」「おばあちゃん」ではなく、名前で呼ぶことで、自分を認めてもらえている、自分に関心があるということを感じることができる。
3)(伝わっているつもりでもきちんと受け取れていないことがあるので)きちんとした言葉や文字でも伝える必要がある。(あとで「そんなことは聞いていない」といったトラブルになる可能性がある)
4)話しかける側が心にゆとりを持つ。(親しき仲にも礼儀ありといいますが、要支援・要介護の際には「親しき仲だからこそ(普段はいい加減にしがちなので)ます礼儀を尽くす」くらいの対応をしないと、人間関係がギスギスしてしまい、きめ細やかな介護ができなくなることが多いそうです。
5)転倒や骨折に特に気を付ける。(椅子から立ち上がる、扉を開ける、方向を変える、乗り物に乗る、エレベーター・エスカレーターに乗るといった日常の動作だからこそ、気を抜いてしまい、躓いてしまうことがあります。乗り物が来た時や、信号の色が変わった時など、若い時とは違うということを忘れて、小走りになったりしがちです。日常の動作だからこそ、1つ1つ慎重に動いてもらえるように心がけましょう)
6)脳に刺激を与える。身体の筋肉を使うだけでなく、頭を使うこと、声を出すこと、笑うこと、ゆっくり呼吸をすること、無理をしないこと、「また次があるわ」と思うこと等の重要性が高いことは知られています。
いずれ自分も通る道です。ぜひ先人たちを敬い、自分が通るときにも通りやすくしておきたいものです。