髭人爺(ひげじんじ)です。
今日は2011年に厚生労働省から発令された「心理的負荷による精神障害の認定基準」の中から、“心理的負荷の強度が強い”と判断されるケースについて記載します。
【特別な出来事】
特別な出来事が起こった時には、人間誰しも大きなショックを受けます。まずはそのケースをあげてみます。突然の事故や事件というのは予想もできませんし、会社としても、本人としても落ち度がないこともあるかと思います。こうやって見ると、少なくとも「職場の安全管理を徹底すること」と「極度の長時間労働になっていないかどうか把握し是正すること」が、会社として最低限事前にできる予防策であるということがわかります。
1)心理的負荷が極度であること
・生死にかかわること
・極度の苦痛を伴うこと もしくは永久に労働不能となる後遺障害を残す病気やけがをしたこと
・業務に関連し、他人を死亡させた、または生死にかかわる重大なけがを負わせたこと
・強姦や、本人の意思を抑圧して行われたわいせつ行為などのセクハラを受けたこと
・その他、上記に準ずる程度の心理的負荷が極度と認められること
2)極度の長時間労働
・発病直前の1か月間に概ね160時間を超える、またはこれに満たない期間に同程度(ex 3週間に概ね120時間以上)の時間外労働を行った
【特別な出来事以外】
「特別な出来事」に該当する出来事がない場合は、その具体的な内容により、強度Ⅲ(強)、強度Ⅱ(中)、強度Ⅰ(弱)に分けられるそうです。その中で“強度Ⅲ(強)”“強度Ⅱ(中)”にあたる出来事の中でも、日常の業務で発生する可能性が高いものも思いのほか多いです。
上司側は、部下の育成のためとか、業績目標達成のためということで、当たり前のように感じていることも、対象者の業務負担や健康状況の違いによって、その受け止め方は様々であり、中には非常に『心に大きなダメージを受ける』人も出てくるかと思います。上司に信頼されていないということを敏感に感じ取った部下は、何も信じられなくなり、病気を発症することもあると思います。
1)強度Ⅲ(強)の具体的出来事
・重度の病気やケガをした
・業務に関連し、重大な人身事故、重大事故を起こした
・会社の経営に影響するなどの重大な仕事上のミスをした
・退職を強要された
・ひどい嫌がらせ、いじめ、暴行を受けた
2)強度Ⅱ(中)の具体的出来事
・悲惨な事故や災害の体験、目撃をした
・会社で起きた事故、事件について責任を問われた
・自分の関係する仕事で多額の損失が生じた
・業務に関連し、違法行為を強要された
・達成困難なノルマが課された
・ノルマが達成できなかった
・新規事業の担当になり、会社の立て直しの責任を負うことになった
・顧客や取引先から無理な注文を受けた
・顧客や取引先からクレームを受けた
・仕事内容、仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった
・1カ月に80時間以上の時間外労働を行った
・2週間(12日)以上にわたって連続勤務を行った
・配置転換があった
・転勤をした
・複数名で担当していた業務を一人で担当することになった
・非正規社員であるとの理由により、仕事上の差別、不利益取り扱いを受けた
・上司とのトラブルがあった
・同僚とのトラブルがあった
・部下とのトラブルがあった
・セクシャルハラスメントを受けた
上記以外にも、いろんな環境要因が絡んで、心理的な負担が大きくなることもあると思います。明らかに問題と思われることもあれば、通常の業務分担変更であったり、必要な異動発令であったりということもあると思います。つまり【何か変化があった時にはストレスが大きくなる可能性を認識して、悪いサイクルに入っていないかどうかを確認する】という姿勢が大切です。