髭人爺(ひげじんじ)です。
今日は自分がメンタル発症して初めて感じたことや分かったことを書きたいと思います。
筆者は入社して二年目からは【人事マン】になりましたし、結構早いうちから休職復職対応を担当することになったので、他の人よりは比較的にメンタルヘルスケアの対応を何度もしなければならない状況になりました。当然ながら他の人よりはメンタルヘルスケアについても知識はあったつもりですし、それなりの勉強をしたつもりでした。
ただ実際に色んなケースに対応しているうちに、自分の経験値の狭さと、知識の少なさに愕然とすることが多く、随分困惑した事が多かったです。都度産業医の先生には、人事マンとして進め方について、色んなケースで都度教えていただきました。
そんな中で2002年くらいに、自分自身が満員電車でパニック症状になり、現在に至るわけです。
今後メンタルヘルスケアを担当される皆樣におきましては、是非《患者側》の視点で下記のような項目をご確認いただければと思います。
<筆者が感じたこと>
1)人事マンでありながら、自分自身が心の病気に対して非常に疎かったということ
人事マンとして、何件かのメンタル案件を対応した経験から、自分であれば相手をある程度回復させることができるという思い込みがありました。自分自身「融通が利かない頑固な性格」「ルールを守らない人が許せない」「人に振るより自分でやってしまうことが多い」という『鬱症状に陥りやすい性格』であることはある程度認識ができていましたが、いざ自分が本当にパニック障害や軽いウツ症状を罹患すると、思いの外、心のリズムと身体のリズムのズレを感じました。今思えば随分思い上がっていたかと思います。
2)一般の方々の「心の病気に対しての誤解」が多いということ
世間一般の皆様の「心の病気に対しての視線」をすごく感じました。中には「精神的に参ってしまう奴=ダメな奴」というある意味で(無意識に?)上から目線をしてくる人が多いということに気づきました。もちろんご本人たちは全く悪気はなかったと思いますが、メンタルで苦しんでいることを打ち明けた途端によそよそしい態度になってしまう人がいました。遺伝性が強いメンタル疾患もありますが、誰しもがなる可能性があるメンタル疾患もあるということを認識できていない人が多すぎます。
3)初期対応で間違うと結果が大きく変わり最悪病状がひどくなること
早めに対象者の不調に気づいてあげることができるかどうかによって、復帰できる時期には大きなズレが生じることがありました。特に早期に発見できるか、早期に専門医につなげることができるかによっては、状況が悪化し、退職を余儀なくされるケースも過去にありました。実際に自分自身のケースではパニック障害は病識があり処方をいただいていましたが、ウツ症状についてはあまり自分には病識もなかったため、休みが続いてしまうと、非常に情けない、申し訳ないという気持ちになりました。
4)社員に対してきちんとした知識を伝える必要があること
メンタルになった方については、部門長や上司の気遣いで内々に処理される事が多く、逆に余計に疑心暗鬼を生んでしまうという事がありました。社員自身がセルフチェックをして、ストレス症状が起こった時に上司に相談できるかどうかは大きなポイントだと思います。そのためにも症状が出た際に「自分でも自覚でき、きちんと早めに悲鳴をあげる事ができる雰囲気の職場かどうか」が重要です。
5)部下がメンタルになった場合にきちんと対応できる管理職が思いの外少ないこと
部下がメンタル不調になった際に、誰よりも出来るだけ早く気づいてあげて、人事担当に相談するような仕組みになっている事が重要です。まずは「日常から部下に目を配り、いつもと違う様子である時に気付けるかどうか」が第一歩ですが、その後は信頼関係を大事にしながら、面談を実施していただかなければなりません。きちんと対応できる人はごく少なく、むしろ悪化させてしまう可能性のある管理職がたくさん居ると思います。(パワハラ、セクハラ等で管理職自身がストレスの原因になっていることさえあります)
6)メンタル改善に取り組むには個人としても会社としてもご家族の協力が不可欠であること
本人がご自身で治すにせよ、会社の所属長・同僚・人事担当が協力して治療に当たらないと、なかなか回復には向かいません。当然ながらご本人のご家族との連携は不可欠です。そうでなければあとでトラブルの原因になる可能性もあります。
今までよりも少しだけ「病気に関する正しい知識を共有する」「部下が日頃と違う点に気づく」「専門家に早期に相談する」ということができるだけでも、かなり多くの方が救われると思います。