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【こころの安全装置】防衛機能

髭人爺(ひげじんじ)です。

今日は「皆さんの心にも安全装置が作動しているよ」という話です。

皆さんがもしも何らかの怪我をされたり、風邪を移されたりすると、身体は自然に「早く血を固めて止める」とか「汗をかいて熱を逃がそうとする」「病原から身体を守るために抗体ができる(免疫を作る)」というように反応するようにできています。

心も同じです。何か事故があったり、毎日のように情報があふれかえっている社会では、楽しいこと、嬉しいことばかりではなく、辛いこと、悲しいことが発生することもあります。その際に全てをまともに受けていたら、心が破綻してしまうこともあるでしょうし、病気を発症してしまうこともあるかもしれません。

もともと人間の心には『防衛機制』というものがあるそうです。これは、さまざまな悲しい出来事(たとえば身内のご不幸とか)や、大きな失敗をしてしまった時のような精神的な負担、人からの攻撃(口撃?)等をブロックしたり、軽減したりする機能らしいです。下記に、その防衛機制のいくつかをご紹介します。

中にはあまり健康的ではないもの(逆に他人からすると問題だと思われるもの)もあるようです。ただ、本人にとっては心がダメージを受けそうな時に自然に発生するものですので、「誰にでもある正常な心理反応」と言えると思います。周りの方からすると間違った反応であるように見えることが多いそうです。(自然な防衛機制が起こってしまうほど)本人にとってはショックが大きかったのであろうと、場合によって、ある程度は理解してあげるしかないのかもしれません。

 

「抑圧」

自分が受け入れられない考えや感情を否定し、なかったことにしてしまうことで、自分を脅かすものや不安を抑え込む。『そんなことは起こっていない!』     ex)人前で大恥をかいてしまったことを忘れてしまう。親に虐待された子供がその事実を忘れてしまう 等 

 

「否認」

自分が受け入れられない考えや感情を認めず、事実を捻じ曲げて記憶してしまうことで、自分の心の安定を保とうとする。『そんなはずがない!』  ex)家族が亡くなったことを受け入れられず「死んでいない」と信じ込む。悪性腫瘍があると告知された人が自分は病気ではないと信じ込み通院を止めてしまう 等

 

「合理化/投影・投射」

都合の良い理由付けをして自分を正当化してしまう。他人のせいにして非難したり攻撃したりして、受け入れられない事実を自分の中で受け入れられる事実に変えてしまう。『きっと〇〇〇のせい!』  ex)仕事で失敗したのは上司の指示が悪かったせいである。あの人のことが嫌いなのは、あの人が私を嫌いだから 等

 

「同一視」

他人の実績や功績を自分のものであるかのように信じ込む。アイドルやスポーツ選手と自分は同じだと思い込み、髪形や服装、化粧の仕方をそっくりにまねて自分も同じように人気者になれると思う。『〇〇みたいになる。なれすはず!』  ex)子供に自分の理想を押し付けて難しい大学に合格させ、それを自慢することで自分の学歴コンプレックスを解消しようとする。

 

「反動形成」

自分が受け入れられない考え方や感情とは全く逆の行動や態度をとることで、自分の心のバランスを保とうとする。  ex)本当は好きでたまらないのに意地悪をしてしまう。本当は同じ意見なのに反論してしまう 等

 

「逃避」

困難や葛藤を放棄して逃げだしたり、他のことをして自分を守ろうとする。  ex)仕事がうまくいかないとギャンブルやアルコールに逃げてしまう。どうしても行かなければならないところに遅刻したり行かなかったりする。

 

「八つ当たり(置き換え)/攻撃」

自分が怖い経験をしたら、本来立ち向かわなければならない対象ではなく、自分よりも弱い対象に対して八つ当たりをして、不安や罪悪感を解消しようとする。規則をわざと破ったり、他人や物にあたって壊してしまう。  ex)いじめをされた子供が更に自分よりも弱い対象を見つけていじめる。病気が治らない事のいら立ちを家族や看護師にぶつける。

  

「補償」

不得意な面があることをごまかすために、他の自分の得意な面を見せて劣等感や緊張感を解消しようとする。  ex)勉強が不得意な分はスポーツでカバーする。

 

「昇華」

直ぐには実現できない欲求を、社会的・文化的な価値が高い活動をすることで発散し、欲求不満を解消する。  ex)様々な気持ちの葛藤を文字に起こして本にすることで自分の価値を高める。

 

「退行」

耐えがたい事態に直面した時、まだまだ小さかった頃の未熟な状態に戻って、不安や葛藤から自分の心を守る。  ex)弟が生まれたとたんに兄が指しゃぶりを始めたり赤ちゃん返りしたりする。本当は自分でできることなのに親や配偶者にやってもらう。

 

他にもいろいろとパターンはあるようです。「好きな女の子にちょっかいを出して、怒られてしまう」という甘酸っぱい経験?は私にだってあります。「補償」「昇華」という方法であれば、少しは前向きな行動言動がとれるかもしれませんが、複雑な胸の内を明かすのは耐えられないとか恥ずかしいとかいう気持ちになる人の方が多いのではないかと思います。

あくまでも無意識のうちに自然に出てしまう【防衛機制】ですので、自分ではなかなか意識できないですが、上記のような自然反応で済んでいるうちに、心のバランスが取れればよいですね。病気になってしまう前に何とか食い止めたいものです。

 

 

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