髭人爺(ひげじんじ)です。
今日は【職場復帰した人がどんな心理でいるか】についての話です。副題は「髭人爺はどのような経緯で今の道を選んだか」ですね。
この話については筆者は「復帰をさせる側の事業部人事担当としての視点」と「復帰した側の対象者の視点」の両方を経験していますので、生々しい実話として読んでいただければと思います。(筆者の場合は休んでいた際も閉所恐怖のパニック症状によるところが大きく「気持ちの上下動」はなかったです。ひどいウツ状態等から復帰された方はもっと大変だったと思います。すんません。)
まず「復帰させる側の事業部人事担当としての視点」からです。人事担当として気になるのは以下の4点です。
①本当に復帰できるほど回復できているのか?(連続して出社できるような状態か)
②受け入れ側の準備は十分だったか?(受入部門の上司同僚の配慮が効くかどうか)
③本人の復帰への思いはどのくらい強いか
④今後の仕事の内容や通院・産業医面談はどのように進めるか
あくまでも本人の体調が安定することと、部門としてうまくマネジメントできるようにしていくことが一番の関心事になります。特にウツ症状からの復帰の場合は、自分が一番落ち込んだ時期にいろいろと迷惑をかけてしまったことや、動けなかった自分の情けなさを思い出すと、せっかく元気になったのに『自分を責める』方向に行ってしまうことがあります。
「ウツは治りかけが一番危ない」と言われていますが、まさにそれで最悪な場合「余計なこと(命に関わること)を考えてしまうくらいのエネルギーはある」ということになります。
従って復帰後当面の間(筆者は人事担当として、復帰後1週間、2週間、1ヶ月、季節の変わり目、期の変わり目を気をつけて、復帰者の様子を見るようにしていました)はフォローが必要と思い、観察を続けることになると思います。
一方で「復帰した側の対象者の視点」は下記のようなことを考えたり、感じたりしていました。
1)復帰はできたものの、また再発しないかという考え(不安)はつきまとう
2)(みんな意識して以前と同じように接してくれているのはわかるが)色々と気を遣わせているのがわかる
3)休んでいた間に、以前に自分が担当していた仕事を進めてくれていた状況を目の当たりにする(業務が止まっていなかったことにホッとする反面、その分同僚に負担をかけたことを申し訳ないと思う)
4)休んでいた間に(そんなに時間は経っていないのに)やり方が変わったことがあると結構びっくりする
5)カバーしてくれたメンバーが自分よりも後輩だと、さらに申し訳なさが大きくなる
6)産業医の面談で「以前の◯◯すぎる自分から変わらないと!」とやたら強く言われ「以前の自分のやり方まで否定された」気分になる
7)そもそも自分はどんな仕事をやりたかったのか、このままで良いのかと考えるようになる。
といった感じでした。
事業部人事担当者としては、今までは二択であれば前者の《まずは体調回復を最優先にしてください》という姿勢で復職された方には話していました。実際に、治療に専念したことで早めに復帰できた方は、今も元気に活躍されています。一方結構症状が重かった方は、復帰はしたもののなかなか適応できず結果的に会社を離れられた方もいます。
筆者自身が復帰者の立場になってからは、7)「そもそも自分はどんな仕事をやりたかったのか、今後この会社で残ってそれが出来るのか」ということを深く考えるようになり、結果としては定年を迎える前に、自ら新しいことに挑戦することに決めました。
一番の理由は復帰した後の上記2)3)5)といった気持ちが大きくなってきて、なんだか「後ろ向きな発想をしそうになっている自分」に気づき、逆に「この機会はむしろ今までの仕事を振り返って考えてみろと言われているのではないか」とポジティブに考えるようにしたわけです。他人には「体調回復に専念して、元気になったら復帰するように」と勧めていたにもかかわらず、こと自分自身のことになると、「体調回復に専念はするけど、結果的に復帰とは違う道を選んだ」ということになります。いい加減なものです。
もちろんまだ何も結果も出せていませんが、毎日学ぶことが多くて、ポジティブですし、新鮮な気持ちなのは事実です。立場が変わるとこんなに考え方が変わるものだと実感しました。
といっても、以前、事業部人事担当として《まずは体力回復を最優先にしてください》という姿勢だったことについては全く後悔していません。それで本当に復帰後元気に過ごしている方もたくさんいらっしゃいますので。
人間の心というのは不思議なものです。