髭人爺(ひげじんじ)です。
高齢者のことを理解しようシリーズ第三弾。今日は「高齢者社会をにらんで、家族間の役割認識にギャップがあることを意識しておかないといずれ自分が困ることになる」という話です。家族の中でも性別や立場によって、同じ出来事でも感じ方が異なるし、特に夫婦間では、もともと育ってきた環境の違いや時代背景に対しての考え方の違いで、かなりギャップを感じることがあるようです。
戦後10数年間は日本全国どこでも「男尊女卑」であり、稼ぐのは男性、家を守るのは女性であることが当然だったでしょうし、どこの家でも男性が家長で食事も別、風呂も一番風呂といったようなことがあったようです。もしも今の時代であれば「稼ぐのは旦那様、家のことは全て奥様がやり、子供を育てるのも母親としての仕事」なんて発言すると、たちまちSNSが炎上してしまうでしょう。
が、実際に平均年齢の高いような地方都市(つまり田舎の実家とか)に行くと、未だに根強い「男性観・女性観」がありますね。
※うちの親は九州の南の方の出で、特に男尊女卑が強かった地方出身でしたので、家庭では親父の言うことは絶対で、お袋は結構それについて行くタイプでした。それなりにバランスは取れていたので幸せな家庭ではありましたが…今の時代では考えられないですね。
男女均等として育った世代(筆者も含め)にとっては、男性だからといってむやみにもち上げられてしまうとむしろ居心地が悪いですし、不思議な感覚になります。
筆者は、体調を崩してしばらく会社を休んだ時とかに、一日中、嫁さんが家事をしているのを見ると「年中無休で曜日関係なく、毎日洗濯して、掃除して、毎日食事考えて作って、場合によっては朝早く起きて子供の弁当作って、買い物行って、風呂掃除して…偉いなあ。俺には耐えられんなあ。」としみじみ感じました。たまたまウチは子供が成人していますから良いものの、もしも子供がまだまだ小さかったら、更に「保育園・幼稚園の送り迎え」や「予防接種や病院通院」「銀行での振込手続き」「子供の急な発熱対応」といったこともプラスされるわけです。
会社勤めしているご主人の方が、圧倒的に身の回りで起こる変化も刺激もあるし、暑い日はビヤホール、寒い日はおでんで一杯といったこともできますね。しかも金曜日には「今日頑張れば明日は休み!」というメリハリのきいた気分が味わえます。確かに平日中の仕事では上司に怒られたり、嫌な人との打ち合わせや、部門間の厄介な意見調整対応等のマイナス面もあったはずですが、逆にやりがいのある仕事ができた時の達成感もありました。
そういう意味では「お金を稼ぐことは大変」ですが、「毎日の家事をルーチン業務のようにこなすこと」よりも少なくとも筆者は気持ちは楽でした。
今の日本は依然として「女性が〝健康的な家庭生活の維持〟のために頑張ってくれている」としみじみ思います。
今、世界は高齢化に確実に向かっており、特に日本は寿命が長く、高齢化が恐ろしいスピードで進んでいます。小学生の頃、高齢者が人口に占める割合が3割くらいだったなあと覚えていたのですが、数年後には4割以上になると言われております。夫婦揃って長生きされるのであれば幸せなことですが、残念ながら一人暮らしの老人も増えてくるのも間違いないのです。
アメリカの精神科医ホルムスとレイが研究し、点数化した『社会的再適応評価尺度(SRRS)』では、個人のストレスの強度として、一番大きな衝撃になると言われているのが「配偶者との死別」だそうです。さすがアメリカ! 日本ではどうかな?(次点以下は離婚、近親者の死、怪我や病気と続きますが、配偶者との死別がダントツに高いです) 血の繋がりのある縦の親子関係とは違い、夫婦は元々は「他人」という関係性だった存在が、“愛情”という何の保証もないもので繋がっているという偶然性を考えると、やはり夫婦というのは特別な関係と言えると思います。
精神的な部分だけでなく、老後の生活面で考えても、「あまりにも夫婦間での役割分担を明確に分けすぎていたケース」では、片方だけ残っても『相手に依存していた役割のことが全くわからない』という状況になり、悲しみが余計に増すことになってしまうと思います。特に「家のことを全て奥さんに任せっきりにしていたご主人が一人残ってしまった場合」は大変な状況になりそうですね。実際に奥様をなくされた方は急に老け込んでしまって、認知症や痴呆症になってしまうというケースは多いそうです。(その点、女性の方が残った場合、寂しく辛いのは同じですが、生活力はあるようです。さすがに寿命が6歳ほど違うはずです。H29調査 男性:81.1歳 女性:87.3歳)
本文書で何が言いたいかというと、
『共働き世帯の男性諸氏! 男性が外で働いて、女性が家を守るという時代は遠い過去になり、今では非常識だということは重々分かっていますよね。奥様の仕事にもリスペクトの気持ちを忘れずに、お互い家事は分担しましょうね。』
『奥様が専業主婦もしくは、今は奥様が家事を多めに担当してくれているご家庭の男性諸氏! 家に帰ったらあまり自分だけのペースで偉そうにしていないで、自分なりの家事の役割を担当するようにしましょうね。それができない時には、たまの休みには、奥様を家事のストレスから解放し、どこか美味しいお店に連れていってあげましょうね。それもできないズボラな男は、少なくとも奥様に〝ありがとう〟〝この料理美味しいね〟くらいのことは【男性の義務】として、口にしましょうね。それが結局は自分の為になりますよ』
ということです。もちろんこれは筆者自身の反省も込めてです。
それに今のうちから「自分自身も家のことが少しはできるようにしておかないと《口ばっかりで何もできないお爺さん》になってしまいますよ」ということです。高齢化社会に向けて、自分のことはある程度自分でできるように“成長”しておきましょうね。