髭人爺(ひげじんじ)です。
今日は【パワーハラスメントの内容をきちんと理解しよう】という話です。
8月にもパワハラについては文章を載せました(http://higejinji.net/2018/08/31/powerharassment/)が、パワハラには内容によって分類された類型があるそうです。
あくまでも『職場でのポジション・立場が優位である背景が前提にあり、被害を受ける側が弱い立場で拒否・抵抗が難しい場合に起こる行為』が対象になるわけですが、下記のように6つのパターンに分けられています。レベル感は異なりますが、いずれも自分の幼稚さ、無能さを顕在化させるだけで、なんの解決にも改善にも繋がらないということがお分かりいただけるかと思います。
(1)身体的攻撃(暴行・傷害)
一番わかりやすいものですね。1950年代ならまだ戦時中の教育の名残があり、礼儀や躾といった感覚もあったのかもしれませんし、実際に働き始める年齢が低かったこともあり、ある意味愛情も込めた指導の一環として認知されていたところもあったかもしれません。未だにスポーツ界でも問題になっている案件です。
(2)精神的攻撃(脅迫・恫喝・暴言・侮辱・名誉毀損等)
上記(1)のような単純な行動ではなく、言葉で相手の人格を攻撃したり、威嚇して意に反することをさせたりということですね。最近は上記(1)の方の報道が盛んですので、上記(2)というのは「マシ」に見えてしまうかもしれませんが、精神的なダメージの方が後々まで影響することもあり、陰湿なものも増えてきているようです。まして仕事上で罵倒されたらやる気が失せますね。
(3)仲間外し・無視・隔離
これはまさに陰湿ですね。特に小学校から中学校もしくは幼稚園の時期からも始まっているようです。大の大人が仕事の上で、陰湿な対応をするというのは本当に情けない話であると思います。が、これは日本社会そのものの人材育成の問題だと思います。※特に小学生中学生ではこの(3)が一番多く、しかもほんのちょっとした事で加害者と被害者側が入れ替わるということがあるようで、困ったものです。それがそのまま会社という組織の中で行われるというのは呆れますが、大人だからこそプライドや気遣いが障害になってしまい、周りに助けを呼べずに孤独感を感じて我慢しているケースがあるようです。
(4)過大な要求もしくは達成不可能なことの強制
(5)過小な要求・単純作業のみの繰り返し指示
上記(4)(5)は会社としての立場(上司)を利用しての『業務指示』という名の感情的なイジメですね。非常に困るのは、上司本人はあくまでも「会社のため」と信じきっていて、悪気がないケースがあることです。また「本人側から退職を申し出させようとする嫌がらせ」ということもあるようです。もっと普通に、『あなたは◯◯の進め方に問題があるので、△△を◇◇にするように!』という理屈も踏まえた指導ができることが必要です。
(6)個の侵害(プライバシー侵害)
これは「パワハラ」と認識されていないことが多いようです。上司としては良かれという気持ちからかもしれませんが、個人の領域(プライバシーやライフスタイル)には踏み込んでもらいたくないという気持ちを理解できず、 余計な一言や行動があるパターンです。よくある「結婚はまだなの?」「お孫さんが早くできると良いね?」といった類の発言ですね。これも〝言い返しにくい〟という立場からするとパワハラの一種であるということは理解できます。
今回労務管理上のパワハラの6類型をご紹介しましたが、筆者がこれを記載した意図は下記の2つです。
1)現在パワハラ被害を被っている人は一人で抱え込まず然るべきセクションに早期に相談すること(メンタル発症や自殺等の発生リスクもありますし、社員の離職にもつながります)
2)部下を持つ立場の人は上記6類型に該当するような行動・言動を特定の人に対して行っていないかどうかを今一度確認し、反省すべき点は素直に反省して関係性の改善に努めること 被害者が出たり、トラブルが公になってから騒いでも遅いのです。
加害者になりうる上司・マネジメント側が自身を省みるのはもちろんですが、現在悩んでいる人は、企業内の相談窓口や内部統制部門、人事担当部門、産業保健スタッフといったところに早期に相談をするというのが、結果的には問題解決に繋がると思います。社内での相談が難しい場合は公的機関にも相談窓口はあります。
またもう1点大切なこと
【上司から注意された=パワハラ】というわけではありません。
その点については、指導を受けた本人側が《自分の成長を期待しての指導》なのか、《上司自身の感情に任せた(部下育成の観点のない)暴言》なのかはきちんと見極める必要がありますし、ハラスメント対象は自分だけなのか、職場全体なのかといった判断も必要になります。上記類型の(1)直接的な暴力 や(2)人格を傷つける言動であれば以ての外ですが、ただ単に口調が厳しいだけとか、厳しいだけではなく充分な配慮もある場合には【パワハラ】とは言い難い場合もあるということは認識しておかなければならないと思います。